塚 2017-12-16 20:11:54 |
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── 宇宙は何も知らない。
( 遥か昔から神様は存在していて地球を創り、人々をこの世に産み落としたとされている。だけど、どの本を読んでも神様についての真実や核心に触れる事は載って居なくて、今日も図書館に足を運んでは深く溜息を吐いて。どれも信憑性に欠けるばかりか、どれが本当の事なのかさえも埋もれてしまっている現状で真実を見付けるのは簡単な事ではなく。だからと言って気になっている事を諦めるのもモヤモヤすると言うか、腑に落ちないからと毎日毎日、己が生きている地球の事や神様の神話についても沢山の本を読んで勉強した。それでも何だか己の思う答えは見つからず、まだ読んで居ない本を探しに席を立った時、図書館が閉まる合図の音楽が静かな空間に流れ。嗚呼、もうこんな時間か、夢中で読んでいたものだから気付かなかったなと思い乍、左腕にしている腕時計にチラリと目を遣り時間を確認して。閉館まで後、五分。読んでいた本を急いで棚に返してはバタバタと焦る様に外へと出るとそこで初めて寒いと感じ、ぶるりと身震いさせ、着ていたコートの襟を両手でギュッと掴み寒さを防いで。息は白く、肌を刺す様な寒さは冬を感じさせるが、正直長時間外には出たくないと足早に家へと向かう途中で頬にぽつりと冷たい何かが降って来た。一刻も早くと下ばかり見て歩いていた己はふ、と空を見上げれば今年初めての雪だ。ポケットに突っ込んでいた手を思わず出し、掌を広げると冷たい雪がゆっくりと掌の上に乗ったかと思えば直ぐに溶け消えて終い。きっと宇宙は今、己がこうして寒い中、掌を出して雪に触れている事も地球の何処かで住む人々の事も何も知らないんだろうな。と、薄ら月明かりが出て来た夕方の終わり頃、己は聴こえるか聴こえないか位の小さな声で上記をぽつり呟いて )
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