xxx 2017-12-05 23:46:58 |
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>84 夏目央
アタシより朝寝坊なんて、この館じゃ有り得ないわ。身支度なんてとっくに済んでて当たり前の時間よ。(人の部屋を訪ねる時はノックをする、そんな常識もこの男にとっては――否、もしかすると、この館に住まう何人かの住人にとっては通用しないのかも知れない。そもそもが常識や現実と呼べるものからは大きく逸脱した空間、其処で常識を求める事そのものが野暮なのである、としよう。心地良い朝寝坊の余韻に浸る暇も与えられず、覚束無い足取りで朝の支度を済ませに向かう姿を目で追い掛けながらしゅるりと体を伸ばしてその背後へと忍び寄った。鏡越しに起き抜けの彼女の顔を眺め、彼女が洗顔を終えたタイミングでするりと背後から手を回したかと思えば「若い肌ね。」と長い爪がその顔を傷つけない様指の腹で彼女の顔をなぞっていく。若さ故、瑞々しさのある白い肌の質感を確かめつつ、柔らかみのある顔立ちをじっと鏡越しのまま覗き込んで)
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