xxx 2017-12-05 23:46:58 |
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>305 夏目 央
…アンタを頭の先から爪先まで残さず食い尽くしたって、意味無いのよ。(浅ましい。己はなんと浅ましい生き物なのかと、心の底からそう思った。彼女の身体を締め上げ、歯牙を剥き出しにその白い首筋へ口元を寄せた時――己の中にあったのは捕食欲ではなく、羨望だった。腹なんて空いていない、それでもこの若い血肉を身体の中へ取り込めば、僅かにでも彼女のもつ瑞々しさに近付く事が出来るのではないか。どれだけ己の美を信じても、執着しても、磨き上げても、心の最深層には深い沼の様な劣等感を抱えているのだ。それをたった今、ほんの一瞬ではあったが目の前の少女に晒してしまう所だったのだと思うと、久しくこんな気持ちになった事は無いとはっきり実感出来るほど何とも居た堪れない気持ちになる。宥める様に尾を撫でる掌の柔らかさに思わず零れた自嘲気味な笑みは、間違い無く己自身に対して向けられたもの。同時に、向けられた微笑みから逃げる様に目を伏せ、伸ばした指の背ですうと彼女の首を撫でると「滅多にある事じゃないわ――人に贈り物をする様なタチじゃないもの。アンタと居ると調子が狂うわ、全く…あらゆる意味でね。」と呟く言葉は溜息混じり。然し言葉の最後には、唇には微かな笑みが浮かんで)
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