xxx 2017-12-05 23:46:58 |
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>281 夏目央
大人と子供にはね、それぞれ違う自由があるのよ。(彼女は先の言葉の意を追求しようとはしなかった。故に説明を求められている訳ではないと知ってはいたが、それでも静かに言葉を紡ぐ。「そして大人も子供も、結局いつだって無いもの強請り…その時の自分には無い自由を欲しがるわ。アンタもそう――アタシもそう。」彼女に背を向け扉を目指して進んでゆくその最中、到底自由を語る事の出来る身とは思えぬ者の口は心成しか僅かばかり憂いを帯びた声音に乗せて話の続きを語った。誰かに優しくするのは苦手だ、誰かに優しくされる事には慣れていないのだから。然し彼女はたった今、これまで踏み出す事の出来ずに居た一歩を確かに踏み出した。元より此処は彼女の様な死にたがりの為に生まれた空間、そして己はその空間で生きる者。なればこそ、今一度己も長らく踏み出す事のなかった一歩をそろりと踏み出してみようか――そんな思いは、そんな決意はゆっくりと彼女を振り返るその眼差しに宿り、暫し柄にも無く逡巡するような間を取った後に「だったら、さっさと着いて来な。待ってあげるのはこれが最後。して欲しい事はして欲しいと自分で言う、したい事は自分でする――アタシと一緒に居たいなら、それを守りなさい。」選ぶ言葉こそ手厳しいものであったが、不思議と日頃の刺々しさは幾らか和らいていたのではないだろうか)
随分と長い間待たせたわね――柄じゃあないけれど、素直に謝らせて頂戴。悪かったわ。
こんな風に時々反応のペースがまちまちになる事もあるわ…
でもね、必ず返す。これだけは約束するから、覚えておいて。
また時間があれば来ると良いわ、まだアンタは死にたがり――館の所有物なんだから。
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