xxx 2017-12-05 23:46:58 |
通報 |
>276 夏目央
子供でも大人でも無い、中途半端――今のアンタはそう言う歳の頃だわ。(しげしげと彼女の姿を眺めつつ、溜息混じりにそんな言葉を吐く。子供と呼ぶにはもう遅く、大人と呼ぶにはまだ早い。境目に立っているからこその不安定さや危うさをもつ彼女の歳の頃は己にとって最も扱い辛く、その一方で最も美しかった。寿命と言うものから切り離されてからと言うもの、もうどのくらいの時間を生きて来ただろうか。嘗ての若さへの懐古も先に待つ老いへの悲観もすっかり手放した存在となって久しい身ではあるものの、それでも心の奥底には彼女のもつ"若さ"や"瑞々しさ"、或いは"危うさ"――それらを羨み、愛おしく思う気持ちが僅かながらに残っているのだろう。「でもね、その中途半端さを…今は大事にしな。」と、敢えて素っ気無い口振りで添えたその一言こそがそれを物語っていた。…それはそうと、彼女の中に存在する己に嫌われる事への拒絶は好都合である。嫌われるのは嫌だと思っている内は、きっと彼女も体系の維持に気を遣う事が出来るだろう。美を保つ為の努力、それを惜しまない姿勢には好感が持てる。己の美しさに対して絶対的な自信をもつ身として、傲慢にも彼女の意思を試す様な気分でふんと鼻で笑ってみせたかと思うと「ああ、そう。じゃあ、アタシに嫌われないよう努力する事ね。そう言う懸命さは嫌いじゃないわ。」などと言ってのけるのであった。今度こそこの部屋に居る理由、序に言えば一緒に居る理由を失くした彼女が大人しく立ち去る姿を見送るつもりが、どうにも後味が悪い。彼女の様子から、本当はどうしたいのかを感じ取ってしまったからである。む、と顔を顰めた次の瞬間には重い溜息を吐き、腕を組みつつ今一度彼女の表情に目を遣れば「アンタもつくづく、懲りない子ね…いい加減アタシから離れてみたらどう。他に会ってないんでしょう、どうせ。」と、ぶっきら棒に問い掛けてみて)
トピック検索 |