xxx 2017-12-05 23:46:58 |
通報 |
>228 夏目央
是非、そうして頂戴。(石鹸の匂いを彼女が気に入っていようがいまいがそんな事は関係ない、と言わんばかりの態度で態とらしく一言言い切った。言われなくても、と言う反論は端から想定していないのだろう。そして、彼女の心情の小さな変化に気が付いてやれるだけの温かな気持ちも今のこの男には備わっていなかった様である。ささやかな気遣いの言葉ひとつ贈らないままに入浴へ急ごうとする体は既に暗い廊下の奥へと向けられ様としていたが、何やら声を掛けようと此方を振り返るその姿にぴたりと動きが止まった。視線こそ"まだ何か用か"とでも言いたげな冷たいものだったが、あんな事があっても尚まだ己と一緒に過ごそうとする彼女の姿勢には半ば呆れ染みたものすら浮かべながらすう、と双眸を細める。嫌味たらしく長めの溜息と共に肩が竦められ、血に汚れていない綺麗な方の手でぐいと髪をかきあげながら流す様な視線を彼女へと向けると「アンタらしいのは認めてあげるけど、たまには他当たりなさいよ――アタシも暇じゃないの。」とまずはいつもの調子で辛辣な言葉を吐く。それが本心なのか将又建前か、その答えは定かでは無かったが彼女に背を向けて廊下の先へと進み始める瞬間「あのクッキー、まだ食べかけでしょう。責任持ってアンタが片付けな。」とただそれだけを告げて暗がりの中へと消えてゆき)
トピック検索 |