xxx 2017-12-05 23:46:58 |
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>208 夏目央
アンタらしいわね――今はそれで良いわ、何も考えずにせっせとそれを食べて片付けな。(つい己の物差しで考えてしまうのは悪い癖、よくよく考えれば彼女はまだ世間的に"大人"と呼ばれる年齢にすら達していない少女なのだ。子供と大人の境目、その最も不安定な年の頃で既に自らの死を願い、かと思えば突如としてそれを叶えると言う選択を取り上げられる――その過酷さをこれからじわじわと思い知っていくであろう彼女のこれからの時間を思い、柄にも無く心に灰色の雲が掛かるのを感じた。これだけはねつけても、彼女はまだ"食べてもらう"ことを諦めていない。この館においてそれは決して救いにはならない、寧ろ一時とは言え彼女の体に苦痛を与える行為。そう言うものなのだと説明を受けていながら、わざわざ己を怒らせようとそんな狙いを行動に移すその姿は、試してみなければ分からないだろうと死を諦めきれぬ彼女の深層を見せ付けているかの様である。同情と言うよりは憐れみ、そう形容するに相応しい気持ちだった。せめて、今の彼女を締め上げる死への切望を和らげるには現実をその目に見せること、己に思いつく唯一の方法。心なしか空虚に見える彼女の瞳をじっと覗き込んでいた目がちらりと逸れ、傍らに控えていたギャルソンの分身に目配せをする。直後、手渡されたのは一本の細身のナイフ。薄く、丁寧に研がれたその刃を彼女へ向けたかと思ったその刹那、ピッと素早い動きで白く細い首筋を切りつけた。噴水の様に鮮血が天井へ向かって飛び散ったのは、そして彼女の心臓が脈打つ度にぴゅ、ぴゅ、と血が溢れたのは、言うまでもないだろう。皮肉にも彼女は、この館で未だ己が**ないと言う事実だけでなく、己が今確かに生きていると言う証を見せ付けられる事となったのだ。ナイフで切り裂いた程度の傷ならば、みるみる内に塞がってしまう。血が噴き出したのもほんの短い時間の事、血濡れのナイフを床に投げ捨てながらすっかり元通りに傷の塞がった彼女の首筋へ指先を這わせれば「その程度じゃ、今のアンタの体は蹌踉めきもしないのよ。」と、低く囁く様な声がそう告げて)
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