xxx 2017-12-05 23:46:58 |
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なんだ、そんな事で謝罪しないでくれ。いつも俺たち死にたがりの事を考えてくれているのは、痛いほど伝わってるさ。逆に礼を言うべきは俺の方だ。
ま、貴方も無理はしないペースで返してくれ。どうせ行く当てもない、する事もない死にたがりだ。待つのはとっくに慣れてる。
前回交流文、感謝する。ではゆっくりお相手頼む。
貴方が一番、俺のような死にたがりと称される者と近い存在か。肉は朽ちても核なる魂が縛り付けられる、か。全く反吐がでる。
(本棚からゆらりと音もなく近付く存在。ただその身体は薄っすらと透け、存在そのものが希薄だ。目の前で非現実的な事が起きようとしている。伸ばされた手は目的のものを掴むことはなく、ただただ擦り抜けるだけ。言葉で聞く以上に目にしたものは己に衝撃を受けさせる。魂の容れ物が壊れてもなおのこと、斯様な屈辱を受けねばならぬ心境とは如何程のものか。自身の拙い思考力では想像も及ばぬことだけは確か。死ぬ事が出来ない、と嘆いていた己のなんと魯鈍な事よ。真に嘆かわしいのは彼らこの屋敷の住人達やも知れない。行き着いた答えの先、受容するにはまだ時間が必要なようだ。ふ、と静かな場に深い呼気を零し、片手をティーカップへと伸ばす。自分から聞いたにも関わらず、彼の話はまだ彼との関係が浅い己が聞いて良いほど軽い話でも、況してや好奇心半分で問うてよい話でもなかった。それでも、ぶれる事のない声音は訥々と彼に起こった事実だけを伝えてくれる。過去話に出来るまで、一体どれほどの長い年月を費やしたことか。自分にはまだ其れが出来ない。まさに未だ癒えることのない傷に素手で突っ込み、裂くような行為など──。冷え切った身体を温めるよう、一口お茶を嚥下する。じわり、温もりは末端まで浸透していく。)
…先ずは貴方がこの話を俺などにしてくれた事、感謝しよう。
(話す義理など彼には無かった。だが嘘偽ることなく語ってくれたのだ。辛かったな、などどの口が掛けられるだろう。慰めや励ましを与えたところで、何の救済にもならぬことは身をもって経験している。更に付け足すならば惨めになるだけだ。たった一言で片付けてよい訳がない、だから己には彼に伝えるべき言葉が見つからなかった。ティーカップを机へ戻し、椅子から腰をあげる。すっと背筋伸ばし彼に向けて深々と頭を下げ、礼を述べる事が精一杯の誠意。握りしめた拳は確かな質量をもって、己の存在を示す。じ、と見下ろした己の掌は透けることもなく、ただただそこにある。最初はこの身体から解放された彼を羨望にも似た気持ちで眺めていたが、今はどうか。ぱつと拳を開き、視線を蔵書室の奥、柔らかな木漏れ日がさす、小さな窓へと投げる。死ぬ事を諦めたら死を迎えることの出来る身体、ならば彼にとって死を迎えることのない身体は何を持って救われるというのか。相手に対して酷い質問をこれからしてしまう意識はある。だが、質問せずにはいられなかった。)
俺たちは死を諦める事で死を迎えられる。だが…貴方はどうなんだ?朽ちぬ身体を持ち、寿命の概念さえない魂のみの存在になって。貴方に…救いが訪れる事はあるのか?
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