xxx 2017-12-05 23:46:58 |
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>タナカ ミノル
ごきげんよう。
此処へやって来る子達は、どんな子だって等しくあたくしの可愛い死にたがり達。
貴方だって例外じゃあなくってよ、安心なさい。
あたくしを指名するなんて、貴方、センスが良いわ。
突然の事で貴方もあれこれと心配でしょうから、ゆっくり館の中を案内してあげましょう。
貴方と出会ったのはそう、貴方が初めて館に迷い込んできた時、玄関ホールだったわね。
あの時のあの瞬間から始めさせて頂くわ。
途中で何か気になる事があれば、遠慮は要らないからいつでも聞きなさい。
では、此方こそ宜しくして頂戴ね。
(カツ、カツ、カツ――勿体ぶってゆっくりと開かれた重い扉の奥に広がる闇から、高いヒールが床を打つ音が響く。少々薄暗くはあるものの、玄関ホールの明かりはついていた。にも関わらず、正面の扉の奥で広がる闇の中に誰が居て、何があるのか。立ち尽くしたまま前方の扉を見つめる相手の目は、その正体を探り当てる事は出来なかっただろう。軈て、遠くから徐々に近づいて来るように響いていた靴音が扉の直ぐ傍で一度止まり、それからすうっと、吸い込まれそうな闇の中から現れたのは同じ闇色を身に纏ったひとりの女性――他でもない、この館の所有者である『マダム・ノワール』その人であった。「到着が遅いから心配していたのだけれど、よく来たわね、あたくしの可愛い死にたがり。」、濃く長い睫毛とくっきりとした黒いアイラインに縁どられた双眸をきゅっと細めながら、ふっくらとした黒い唇に緩やかな弧を描いて微笑む。カツ、カツ、カツ…再び響き始めた靴音に合わせて少しずつ相手の方へと近づけば、首周りを包み込む大きな黒いファーが靡いて揺れた。互いの距離を大きめの歩幅ひとつ分程度残して立ち止まると、自分とは違う東洋の顔立ちをしたその姿をじっと見詰め「貴方が思うよりも遥かに、あたくしは貴方の事を知っていてよ。此処に来る前に何をしていたのか、貴方がどうなりたかったのか…貴方が書き残した遺書の一言一句だって、全部知っているの。」と、顔の輪郭をなぞるように細く白い指先を相手の顔へと這わせて)
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