xxx 2017-12-05 23:46:58 |
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>140 夏目央
(しん、と静まり返った蔵書室内で何かの姿を探すようにぐるりと視線を動かした。どうやら、探している人物は今この場には居ないらしい。日頃この部屋に立ち入る機会は無いと言っても過言では無いだけに、相変わらず必要以上の広さと本の数だと感心を通り越して呆れの色すら滲む様子で息をつく。本に関心のある者にとってはそれこそ夢の様な場所なのだろうが、生憎己にとっては決してそんな事もなく。然しながら、この部屋に連れて来たのは正解だったのかも知れないと、少なくとも彼女の反応を見る限りではそう思った。あまりに静かなこの部屋の中では足音ひとつ、呼吸の音ひとつさえも高い天井へと向かって響いていく。すう、とも、さあ、とも表現出来る音と共に床の上を這いながらテーブルの傍に立つ彼女へ近付くと「それを本気で言ってるのなら、アンタの感性はどうかしてるわ。」と最早当たり前となった辛辣な一言。その後するりと彼女の体に緩く巻き付きながら、天井を見ろと言わんばかりに後ろから両手で彼女の頬を包み、ぐっと強引に上を向かせれば「今は居ないけど、此処に来るとよく見掛ける男が居るわ。一日中この部屋の中を漂ってる、陰気臭い男。何も悪さはしないから放っておいて構わないけれど、この館の住人よ。覚えておきなさい。」、そう説明した所で彼女を解放し)
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