xxx 2017-12-05 23:46:58 |
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>130 夏目央
城なんて大層な場所じゃないわよここは…
それに、あんな霧だらけの庭じゃ食べられる物も食べられやしないわ。
案内して欲しいならさっさと支度して着いて来な、はぐれても探してやらないから。
精々、アタシを見失わないことね。
此処で暮らしていく上で、最低限覚えておくべき場所だけ案内するわ――他は自分で好きに探索しな、あまりちょろちょろ動き回らない方が良いとだけ忠告しておくけれどね。(基本的にこの手の仕事はあまり得意ではなかったが、これもひとつの気まぐれである。態度こそ相変わらず高飛車で棘のあるものが目立つものの、彼女が着いて行くのに苦労しない程度の速度を保って廊下を進んで行くのはこの男なりの気遣いなのだろう。間取りそのものは、中世ヨーロッパの時代に建てられていた一般的な貴族の館とそう変わり無いが、何せ彼女を含むニンゲン達の生活には到底考えられない様な空間がひっそり存在しているのがこの館の特徴である。無闇に立ち入ろうとする好奇心があまり望ましいものではないのだという事を暗に報せつつ、まず向かったのは玄関ホールを抜けて右奥に進んだ辺りにあるダイニングルーム。左右に開く扉を開けて中に入れば、やや光度を抑えた優しいオレンジ色の明かりに照らされた空間が広がる。十数名は一度に集まれそうな広さの長テーブルには染み一つ皺一つ無い純白のテーブルクロスが敷かれ、その上には等間隔に置かれた燭台とずらりと並んだ食器類が見えるだろうか。どうやら、常に料理さえ運ばれて来れば直ぐにでも食事が始められる用意が整えられているらしい。食事時にはまだ早く、しんと静まり返ったダイニングルームの中で徐に彼女を振り返ると「食事の時間は特に決まってないから、好きな時に勝手に来て勝手に食べなさい。アンタが席についたら、直ぐに料理が運ばれてくるわ。」と簡易的な説明を始め)
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