xxx 2017-12-05 23:46:58 |
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>111 レノ
ああ、いや――…うーん……(失言だったか、彼の反応を見て思わずぽつりと零れた慌てた様なその声にはそんな思いが滲んでいる。何とも言えぬ表情を浮かべる彼を目の前にして、今度こそ気の利いた励ましの言葉は何一つ生まれて来なくなってしまった。そう、そうだったのだ。人間とは本当に繊細で、己の考えている以上に複雑に出来た存在なのだ――長い時間、死にたがりを迎える機会から離れていた所為ですっかり忘れかけれいた事実を今更ながらに思い出し、つい数秒前の発言を悔いる。少なくとも今は、言葉よりもこうして触れている事でどうにかする方が今の己には得策らしい。下手な慰めの言葉よりも彼が随分と好感触な反応を見せる"抱き締める"と言うたったそれだけの行為、彼の体を抱き締める腕を解かぬままに彼の視線を見返すと「何で、か。そうだなあ……呪いを掛けられたから、だな。」と詳しい事情の説明はひとまず全てすっ飛ばして答えだけを端的に告げる。勿論彼がそれに対して疑問をぶつけてくるのは容易に想像出来たのだが、生憎今はその為の時間がない。「何で呪いを、って質問はまた今度な。今は後がつかえてるんだ、他に説明する事がたくさん残ってる。」と釘を刺した所で、スコーンをと求められると空いた手でスコーンを摘もうとするのはごく自然なこと。しかしながら、がっしりと手を握る彼の手はそれを許そうとしない。仕方なくスコーンを持つ手を持ち上げて、バスケットごと彼に差し出すと「おう、食え食え。俺が焼いたんだぜ、それもついさっき。今度はしっかり味わって食えよな。」と明るい声に乗せて忠告してみせ)
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