赤の女王 2017-12-03 23:18:48 |
通報 |
(ボウルや泡立て器を覆うシャボンを流水で濯ぎ、乾いたタオルで水滴を一拭い。同じ質問を返されるとは思っていなかったようで「オレの?」と虚を突かれた様子で瞬きを。好き嫌いはあまりないが数多ある種類の中から一番を選ぶなら彼と同じようにお茶によく合うものだろうか。母国で馴染みの深い飲み物といえばエスプレッソであり、濃く抽出されたドリップコーヒーのお共といえば「ティラミスか、チーズケーキだな」と役目を終えた調理器具を所定の位置に戻しながら頷き。前者は幼少より慣れ親しんだドルチェ、後者は個人的にはちょっぴり高級なドルチェといったところ。片付けを終わらせる頃には淹れ立ての紅茶の柔らかな香りが厨房内を満たしており「Grazie…せっかくだし、ストレートでいただくよ」短く感謝の礼を述べながらティーカップを右手に。水仕事で悴んだ指先に染み渡る温もりに自然と表情も緩む、暖を取るように左手も添え、両手で陶器を包みながら、揺れる琥珀に口を付け、自分の為に用意された紅茶を味わう一時。蒼眼を細めながら「あたたかいなあ」だなんて、幸せそうにぽつりと呟いて)……ん。うまい。ウサギさんはバリスタになれるな。
トピック検索 |