赤の女王 2017-12-03 23:18:48 |
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そうだと言ったら?(相手からの許しが降りたのと扉が開いたのはほぼ同時。早々に開いた隙間からひょこりと顔を覗かせ、室内の様子を窺えば、探し人がちょうど此方を振り返るところで、久方振りに垣間見る虹彩に薄く笑み。手作りのプレゼントが眠る深緑の紙袋は己の背に隠れるよう後ろ手に。ゆっくりとした足取りで彼の元に近寄りながら問い掛けに、弧を描かせた唇から他愛もない戯れを紡いで「慰めてくれるのか?」くす、と小さく喉を鳴らしてみせるも、微かな愉悦の色を孕ませた双眸は、彼の手元―用意された魅力的なアルコールの品々―を辿った際に嬉々と揺れて「Caspita!」素直に感嘆の声を上げ、酒瓶と同じ目線になるように腰を落とす。用意された酒瓶、その内の一つのフォルムを右手の人差し指で、つつ、となぞりながらゆるりと蒼眼を細めて。目先の欲に釣られ、背中に忍ばせた贈り物の存在をすっかり失念し、左手に緩く携えたモスグリーンの小さな紙袋が彼の視界に入る位置で揺れ)───これは侯爵さんが用意した酒?ふ…ウサギさんの言ってた通りだな。パーティーが開かれている間はずうっと飲み明かすんだって。
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