赤の女王 2017-12-03 23:18:48 |
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───いや、オレは彼らに好かれていないみたいで、怯えさせてしまったり、威嚇されることが多くて、まともに触ったことがなかったんだ。だけど、だからといって、あんな…子供みたいに……(らしくなく赤面した表情を隠すべく片手で顔を覆ったまま、息を吸って、吐き出す。ゆっくりと、深く、長く。肩を浅く上下させながら深呼吸を繰り返す―柔らかな手触りの獣耳に夢中になって、それこそ年端も行かぬ子供のようにはしゃいでしまった先の醜態を恥じるばかり─頬に集まった熱を逃がそうと必死の身に周囲に気を回す余裕など残っている筈もなく、相手の接近を容易に許してしまう。それも彼の手が、己に触れたことでようやく現状を認識したくらいなのだから重症だ。穏やかな笑い声と共にくしゃくしゃと頭を撫で付ける手のひらの感触に、小さく身動ぐも、最終的に体の力を抜いてされるがままに。腰ほどの高さのカウンターに少しだけ凭れ掛かるように体重を預けながら、利き手を降ろしてようやく顔を覗かせては「別に、オレは嫌じゃないぞ」と、指摘に対して緩く笑み。ようやく落ち着きを取り戻して、好き放題に弄ばれて乱れた黒髪を適当に掻き上げた後、小さな懇願を)さっきのことは皆には秘密にしてくれ。あんなにはしゃぐなんてクールじゃないだろ。
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