××× 2017-11-23 23:11:06 |
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>45 朝比奈月子
( 変に気を使った話し方をやめ、無邪気に笑う少女の顔を見て考える。アジア圏の人間の年齢はつくづくわかりづらいのに、純日本人でもないというのが今は余計にややこしかった。10かそこらではないかと思うが、何せ判断材料が少ない。顔立ちだけで判断するなら乳臭い赤ん坊のようにも思えたが、そう思いきや、自己主張をした上でこちらに委ねることも出来るのだ。何にせよ、我儘な子供では決してなかった。
遠くを飛んでいる白い鳥が、視界の端にちらついてようやくはっとする。予定よりも随分と話し込んでしまっていた。およそ賢いとは言えない行動をとっている。自分から会話を広げておいて、これ以上ここにいるべきでないと思い始めていた。
名前を尋ねられると、暫く視線を落として思案する。「……エヌ」数秒の後、Nodensの頭文字をとってイニシャルのNを少女に与えた。己の影にすっぽりと包まれてしまう小さな生き物を最後にじっと見下ろして、踵を返す。風が冷たくなってきていた。彼女の軽装では、その風を阻み続けるのは難しいだろう。さざ波も穏やかに相槌を打っている。己は夕刻の海を好ましく思っていた。「これを良い出会いにしよう、ティー。ゆっくり休め」ツキコと名乗った少女の頭文字をとって、それが彼女を示す名前であるかのようにそう告げる。良い出会いにしよう。きっと出来る。)
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