わかったよ｡

正直な話､ 何でかは分かんないんだけど､ 泰陽のその言葉で今一番､ お前を信用出来た｡ 違和感も何の疑いもなく､ そうか､ そうだなって｡ 一文字一文字がすっと染み込んでいくみたいな感覚で｡
今更俺から異論はないよ｡ 勇気出して言ってくれてありがとう｡ もうさ､ 姿の見えない人間に､ 人間かも定かじゃない奴に何の感情も持てなくなって来てるんだよ､ 俺｡ 泰陽の事は決して嫌いじゃないし､ 一年前に散々好き好き言ったのも嘘じゃなかったと思う｡ でももうお互いに､ 此処に居られない気がした｡ 嘘で塗り固められた､ いわばキャラクター同士の疑似恋愛だから､ 多分此処に居たって仕方ない｡ どんどん感覚が麻痺してくだけだし｡
泰陽は事ある毎に俺に幸せになって欲しいとか言うけど､ 泰陽が離れたところで俺は幸せになれないよ｡ 近くに居たのが泰陽だから悪いんじゃなくて､ こんな所に引き篭もってうだうだ言葉遊びしてた俺らが悪い｡ と言うか､ 異常だった｡
お前もどっかで気付いてると思うけど､ ちゃんと目を逸らさずに現実世界を生きてる奴らからすればくだらない機械的なやり取りに過ぎなかったんだろうな｡
この一件がなかったら この先もずっと現実逃避して画面上の関係に依存してたと思う｡ だから､ 卒業する機会をくれて､ 本当に感謝してる｡
傷付きもしたけど どうせ一ヶ月後には癒えるような見せかけの浅い傷だから平気｡ これからはもっと有意義な人間関係を現実で築いて､ 沢山傷付いて一喜一憂して､ 苦悩しながら生きて行こうと思う｡
お前ももうこんな所で油売ってね-で､ それぞれ幸せになろ｡ 恋愛も友人関係もちゃんと生身の人間と築こ｡ その方が絶対幸せになれるから｡ 少なくとも俺はそう思った｡ 泰陽って名前は潔く捨てろよ､ 気に入ってくれたなら覚えててくれても良いけど､ お前は泰陽でも巽でも何でもないんだから､ んな名前使う必要ない｡ 氷影も一緒｡ もう､ この嘘の名前で呼ぶのはやめて｡

何だかんだ楽しかったよ､
じゃあ､ 元気で｡