KING 2017-10-16 13:21:15 |
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【プロローグ】
あの国際犯罪組織グリムからの挑発的な声明から数日。軍本部の混乱はなにも知らない訓練生にも伝染した。いつもよりもピリピリとした空気と、訓練生たちを見る軍人の目。それは訓練生全員を敵として見なしているかのような理不尽なものだった。理由も知らないまま理不尽な視線に耐えきれなかった一人の訓練生が、不安げに軍人に問いかけると返ってきた答えに彼は絶望する。
そう、今まさに自分たち同期の訓練生のなかに有名な犯罪者集団の何人かがいるというのだ。ようやく名前を覚えてきて、仲良くなれそうな人も現れてきた頃に知らされた事実。それはその日のうちに訓練生全員の耳に入った。泣き叫ぶ者、辞めると騒ぐ者、誰も信じないと言う者。訓練生の反応はさまざまだった。
そんな矢先の一人目の犠牲者。彼女は誰よりも先に軍を辞めると言って荷物をまとめ始めた子だった。彼女の遺体は一階の娯楽室で、無惨にも首もとを引き裂かれていた。
訓練施設での殺人。娯楽室はすぐさま閉鎖された。犯人は訓練生の誰かだということは分かるのに、誰一人としてアリバイはなく、誰もが容疑者となる。彼らは一人残らず軍の監視下へと移ったが、これを軍外に知られるわけにはいかなかったため、表向きは訓練生の育成をすることなったのだった。
犯人、犯罪者が分からないままさらに数日が経過。その間に犠牲者は誰一人として現れていない。訓練生たちは、いつ殺されるのかビクビクしながらも、カリキュラムをこなしていくしかなかった。信頼できるのは軍人と自分だけ。それ以外は誰が味方なのか分からない。そんな不安定な気持ちを抱きながら、今日も一日が始まる。
ほくそえんでいるのは、犯罪者だけ。
自分の命を守りたいならば、力をつけて戦うしかない。目に見えない凶器と、殺意から逃れられるのは……。
to be continued...
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