2017-10-09 20:37:53 |
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「 お早う御座います!今日も市への忠誠を胸に、張り切って働きましょう! 」
朝6時丁度にそんな放送が流れる中央都市。目が覚めた者は市から支給された球体の前に立ち、忠義の誓いと呼ばれる挨拶をすることで一日が始まる。
そんな中央都市は元々地下都市と一つの街であった。今から30年前、政府が地下都市と中央都市の境に壁を建設する事を決めた。元々中央都市は富裕層が多く、重要な機関が置かれていた場所でもある。地下都市に近付くに連れて貧しい家々が増え、街の南側はスラム街と呼ばれる程の姿をしていた。その南側‐暗黒街で原因不明の流行病が蔓延し、その魔の手は中央都市にも迫った。その流行病対策として壁の建設が決まったのが30年前。技術が著しく進歩していた中央都市は約5年で高さ100m、厚さ20mの壁を作り上げ、完全に地下都市との隔たりを設けた。幸いにも流行病は壁が出来上がると同時にワクチンや特効薬が出来、収束したのだが。これ幸いと中央都市の政府は地下都市を見放す事にしたのである。今までは中央都市にハンドメイドの服や小物、農作物などを売りに来ていた地下都市の住民は猛反対したが、その願いも叶わず中央都市と地下都市は完全に分断されてしまったのである。
益々貧富の差が出来上がった二つの都市は片や理想都市‐UTOPIA‐と呼ばれ、片や地下都市と呼ばれる様に。中央都市に住んでいれば様々な補助を受けられる他、絶対的な安寧を手に入れられると住民は政府の方針に従った。身体にはAC‐Administration Chip‐と呼ばれる小型の機器を埋め込まれ、全てを管理されることにさえも素直に従った。やがて自分の意志は薄弱し、市の意志=自分の意志となっていった。
30年前‐地下都市に流行病蔓延
壁の建設決定
25年前‐壁が完成
対流行病用のワクチン、特効薬出現
流行病が収束に向かう
20年前‐Administration Chip完成
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