溝の中 .　　　

■ 外側の僕


　＿ 僕はもう、自分が誰なのかさえも分からない。僕は、僕は..どうしたらいいんだ！！

(　僕は誰かに嫌われるのが怖くて服に付いていたフードを目深に被り、誰かが囁いてる陰口が僕を傷付けて痛いから聴きたくなくて耳全部を隠せる程のヘッドホンを耳に当てて耳を塞いだ。本当の僕はとても汚くて学校の友達や家族や恋人..いつも会う近所のあの人にも愛想笑いを浮かべ、綺麗な所しか見せないようにいい子の振りをした。そんな事を続けていたある日、皆の声が考えが全部全部、嘘にしか聴こえなくなってしまって僕は、誰を何を信じれば良いのか。毎日悩んで苦しんで考えていれば自分を嫌うのは " 誰かじゃなくて見せたくない僕 " だって気付いて、僕は綺麗じゃない本当の僕が恋しくて呼んでみたけど僕の声は届かない。諦めきれない僕は何度も何度も呼呼ぶけど一向に返事は返って来ないまま時間だけが過ぎ、次第に僕は誰を探していて何をしたいのかさえ分からなくなって、布団の中で震える自分を抱き締め上記を叫ぶ　)



□ 内側の僕


　＿ 君は此処にいちゃいけない。早く自分の場所に帰るんだ！

(　外側の僕が泣き疲れ目を瞑り、眠ってしまうと遠く暗い僕が居る場所までやって来た。此処は普通の人には入って来れない所で、もし入ってしまったら早く帰らなければ元の世界に帰る事が出来なくなってしまうとても怖い所。それに恐ろしい魔物や鬼が住み着いているこの場所は長居すると危険であり、突如やって来た外側の僕に僕は焦りを隠せず慌てて腕を引っ張って上記を口にし。どんどん鬼になってしまう相手、でも言っている事はまるで自分の方がよっぽど本物の鬼の様で。その後、直ぐに元の世界へ戻る道へと案内すると弱った外側の僕に僕は『 君が僕を捨てて手に入れる誰かの " 愛 " は見せかけだけの愛だ 』そう呟き掴んでいた腕をそっと離すと外側の僕は光となって消えて行き、僕はそれを唯見詰め　)



■ 外側の僕


　＿ おはよう、今日の授業どうする？じゃあ、教科書取ってきたら僕も直ぐ向かうね..

(　布団の中で目を覚ますと昨日泣いてしまったのが嘘のように、何だかスッキリとした気分で僕は朝を迎える事が出来た。寝ている時、不思議な夢を見た様な気がするけど、どんな夢だったのか迄は良く覚えてなくて唯何となく悪い夢じゃないのだけは感じる。そう夢心地なままで居れば目覚まし時計が部屋に響き渡り急いで止め、学校に行く支度をし出来たらバタバタと家を後にして　)


　── 学校に着き、友達に会った。


(　僕よりも先に学校へ来ていた友達は一足先に教室に必要じゃない教科書などを置いて、必要な物だけを手に廊下ですれ違う。たわいもない話を少しだけし、チャイムがなりそうな時間になると友達が思い出したかのように「 あ、そう言えば一時間目、班行動するらしいぞ。お前も急いで来いよ 」とだけ言葉を残し。僕もそれに作り笑いを見せつつ返事をすれば早くしなくちゃと急いで教室へ向かえば誰もいない教室で自分の机に教科書を入れながらふ、と無償に寂しさを感じて。あと何回、嘘に嘘を重ねたら僕は救われるのだろう..なんて昨日よりも誰かの愛を求め、痛みが苦しみがドッと滝のように溢れ出し『 明日君に打ち明けるんだ、僕は卑怯でだって 』と。か細く小さな声で震える手を自分で抑えながら述べれば零れそうな涙を必死に堪え、教科書とノートと筆箱を握り締め友達の元へ向かう　)



□ 内側の僕


　＿ .. 。


(　学校も部活も終わり、家に帰って来た外側の僕は荷物を全て放り投げてまた、昨日の様に布団を頭から被って僕を探し会いに来てくれた。もう何回、僕の声を探してあと何回、これを繰り返せば信じてくれてこの関係を断ち切れるのだろう。僕はいちゃいけない存在なんだとそう思ってたけど外側の僕が僕を探す度に、僕の世界へとどんどん近付いてく。姿はまだ見えないけれど僕は外側の僕に声を掛けてみたそしたら『 君は何処にいるの.. 』僕を探す声が聴こえた。薄暗い世界に雲が流れ始め、次第に空が顔を覗かせると空は夕焼けの様に紅く綺麗な景色を映し出して。僕は探している僕の元へ行かなくちゃと暗く留まっていた世界から一歩、また一歩と勇気を出し足を踏み出せば目の前に外側の僕が現れ『 ほらね、やっと君を見つけた 』そう述べて微笑みながら僕に手を差し伸べてくれて　)




■ 愛される事を望んで、僕は僕は僕を隠した。

□ 傷んだ傷口を塞いで、僕は君を君を愛した。






　ボカロ曲　/　ハイドアンド・シーク