精神科医 2017-09-23 17:53:28 |
通報 |
(数日後、同じ待合室で今度は名前だけ聞いたことのある少年漫画を読んでいた。何故か始めの巻が欠けていたので話はいまいち理解出来なかったが、そもそも、頭の中で考えているのは両親に言われた言葉だった。この先付き合いのある人じゃないのだから、話すだけ話してしまった方がいい。その医師一人に話したところで、周囲の目が変わるわけじゃないのだから。……そんなことを言う両親の表情は、風邪をひいた時の自分を心配するのと同じ顔をしていた。結局、それをしこりのように考えているのは両親そのものなのに。どうせ話さなければいけないのなら、前回布石を打っておいたあの医師に話す方がせめて気が楽だろうかと考えてそのまま予約したが、やはり女性の方が良かっただろうか。そんなことまで悶々と考えては、はあ、と浅い溜息を吐いて、全く台詞を読まないままに本のページをひとつ捲った。)
トピック検索 |