遠くから聞こえる声。
ただアテもなく、ただひたすらに、ここにいてはならないと判断して、互いに手を繋いで走った。
それでも追っ手は諦めてはくれなくて。
あんな場所に戻るぐらいなら……。
「ダメ、それだけはしてはならない」
制止する白い手。
瓜二つの双子の片割れ。
それだけ。
それ以上の情報がなにもかも全部僕にはない。
それでも、君が一緒ならば平気。
ねぇ、僕の片割れの君。
僕たちはいつか、幸せな世界に生きられるだろうか。
「--!」
手を伸ばせばいつか届くだろうか。
皆が笑って暮らせる未来を。
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