始まりのエデン【箱庭系 ❘ 3L】

◆最初のエデン島民たち
◆再びエデンに現れた『神様』
◆新たなエデン島民たち



最初のエデン島民は、『神様』と名乗る男に選び抜かれた特別な７人だった。

『今の生活を捨てたいだろう？　幸せになりたいだろう？
　ならば私の愛する箱庭、【エデン】に移り住んでみないか。
　そこでは自給自足の生活をすることになってしまうが、君たちを苦しめてきたあの恐ろしい災厄からは絶対に守られている。
　君たちは自分たちの穏やかな生活を楽しみ、家族をつくることだってできる。
　最初に必要なものは全てエデンに用意してあるし、必要ならば適宜追加も送るとしよう。
　私はただ、君たちにそこで暮らしてほしいだけなのだ。
　私の愛する箱庭で、始まりの人類になってほしい』

傭兵、奴隷、戦争孤児。被験者、殺し屋、戦争捕虜。
様々な苦境に立っていて救いを願っていた７人は、半信半疑に、あるいは心から感謝しながら、喜んでこの申し出を受けた。

──７人がある日目覚めると、そこは約束されたエデンの地。
まずは島の開拓だ！
島の設備を確認しよう。島の資源を確認しよう。田畑を耕し、種を植え。道具をつくり、建物を造り、狩猟や漁業に励みながら。
そんな生活の中で、自分が何に長けているのか、自分は『エデン一族』の中でどんなポジションとして役に立つことができるのか、自分の辿るべき生き方が次第にはっきり見えてくる。
質のいい道具を作れる。狩猟精度は自負できる。薬草探しはお手の物。建築ならば相談してくれ。害獣退治はお任せを！
苦しかった「前世」を捨てて新たな生き甲斐を見つけた７人には、次第に仲間意識が芽生える。
やがて恋に落ちた者同士がささやかな家族をつくったことは、必然の結果だったろう。

◆

あるとき、エデン一族９人の前に再び神様が現れた。

『私の愛する箱庭での暮らしを幸せに送ってくれて、心から嬉しいよ。可愛い子どもも生まれたのだね。
　……さて、今日は君たちにお願いがあって来た。
　君たちが元いた大陸には、君たちと同じようにまだまだ苦しんでいる者がたくさんいる。
　そこで、君たちと暮らす資格があると私が判断した新しい島民をこの島に漂流させるから、どうか受け入れてほしいんだ。
　彼らは君たちと同じなんだ、苦しみを経験して幸せを欲している。……エデン一族に入れてくれるね？』

勿論の事と喜んだ者、内心快く思わなかった者。反応は色々だったが、彼らの総意は決まっていた。
ここはエデン、始まりの楽園。苦しみの末に幸せを求めるものなら、誰もが住む資格のある島だ。

◆

──死を覚悟した。
奴隷船から飛び降りて、埠頭でとうとう追い詰められて、軍用ヘリから落下して。
自分は海の藻屑となるのだと生きることを諦めた、しかしその末。
気づけば、美しい島に自分は流れ着いていた。

そして、弱り果てた自分の前に９人の救世主が現れる。
「ここはエデン、始まりの楽園。
　もう苦しまなくていい。痛みや辛さを耐えなくていい。
　自分もかつてはあの大陸で最悪の人生を送っていたが、ここで幸せな暮らしをしている。
　──仲間に、エデン一族に尽くすなら。君も一族に守られる。我々の仲間にならないか？」


かくて、大陸から隔絶された秘密の楽園エデン島にて。……人々は、エデン一族として助け合いながら共に生きていくこととなる。


◆


『始まりのエデン』は、「大陸から逃れてきた」過去を持つ人々が、自然豊かなエデン島で共に暮らし、一族をつくりあげていく物語。
狩猟をして、採集をして、道具を作って、島を探検して。島民が送るのは、そんな素朴な生活です。

何やら酷いことが起きているらしい広大な「大陸」には、歴史も発展度も異なる様々な国が存在します。
参加者様は、「大陸」の中の「自分の出身地」の歴史や事情を自由に創作でき、その設定は『始まりのエデン』公式の設定となります。

例えば、「剣と魔法、ドラゴンが存在する魔法国家〇〇出身。現在他の魔法国家と第４次魔法大戦中で、戦争に駆り立てるためのドラゴンを他国家から盗み出す密猟者を匿っていることで悪名高い。戦争が激化する中で、他の非魔法国家に逃れようとする難民が大量発生している」等。
勿論、剣と魔法が存在する国と同じ世界に、サイボーグやアンドロイドが存在する国があっても構いません。
参加者様が創作すればするほど、『始まりのエデン』における大陸の世界観は広がるという仕様です。

関係者様の許可を得られた場合、既存の大陸国家と関連するオリジナルの国や世界史を作ることも出来ます。
また、例えば既存国家に「奴隷文化がある」場合、元の世界観をしっかり踏まえた範囲で、その国の奴隷という設定で参加することは可能です。
しかし、侵略した・された、過度な悲愴設定等、ネガティブな設定を勝手に作ることはNGです。
不安があれば関係者様にお問い合わせください。

世界観の創作は基本的に自由ですが、他の参加者様の創作を制限しかねないと判断した場合、『神様』より修正願いが出されることがあります。

参加者様が来なくなった場合、キャラクターはリセットされますが、「出身地」の設定だけは『始まりのエデン』の公式世界史として残ります。
この場合、その世界史の著作権はフリーとなり、誰でも許可なく使用・加筆することができるようになります。

──しかし、あくまでも『大陸』に関する設定は、参加者様のキャラクターのバックボーンに留まります。
舞台は大陸各国から集まった人々が一族となって暮らすエデン島であり、そこでのやや原始的な生活が物語の中心です。
メインとして扱える設定ではないので、ご注意ください。

様々な過去を持ち、様々な国から流れ着いてきたエデン島民は、この島に来た時点で『エデン語』を話せるようになっています（神様の仕業です）。ただし、母語を忘れた訳ではありません。

島民はともに生活し、やがて自分の得意分野で活躍しながら、一族として助け合う日々を送ります。
年長者や経験者か若手や新人を教育したり、島を探索したり、狩りの腕前を競い合ったり。エデン島でのライフスタイルの範囲に限り自由です。
害獣から助けたり、共に薬草採集したりするうちに恋仲になり、子供を作ることもあるでしょう。

……ただ、全く不穏の種が無い訳では無いのです。
生来の権力欲から、最高権力者である族長の寝首をかこうと画策したり、大陸国家への忠誠心を捨てきれず、この島を出て、新たな資源が見つかったと国家に報告しようとしたりする者もはいるようでした。
そして中には、こんな楽園を用意した奇妙な神様の正体を突き止めようとする者だっていたのです。

エデンに来る前にいた、出身地における過去も。
ほのぼのとした生活を満喫する、水面下の熾烈な争いを生き抜くといった、エデンに来てからの生活も。
全ては自由。
全ては島民の、心のままに。