牧場物語▽非募集

なんだそれ。落ち着いてんのか落ち着いてねぇのか、よく分からないヤツだな。お前は。
（動物小屋を目指してやや足早に歩を進めながら傍らで素直に謝罪する相手の言葉に耳を傾けていたが、その内容から察するに恐らく初めて家畜の出産に立ち会うことになって落ち着かず手持ち無沙汰になっていたのであろう牧場主の様子が何と無く想像出来、嘗て自分が初めて動物の出産に立ち会った日の事を思い出せば、当時の自分と現在の彼女の姿が重なり。同じ経験がある者として我にも無く微かに笑いかけそうになった瞬間、此方を見上げて話す相手とバッチリ目が合ってしまい気まずく、反射的に視線を前に向け直すと普段の仏頂面で誘いに応え）
……オレなんかと飯食っても楽しくねぇぞ。それでもいいってんなら、まぁ、作りすぎたヤツ残すのも勿体ねぇし…。

（そうこうしている内に相手宅からそう遠くない場所にある小屋に到着。直ぐ様妊娠中の牛の側へ寄っていき）
ーーとりあえず、今はコイツと、コイツの中にいる子供が大事だ。大抵の牛は人間と違って、誰の力も借りずに自力で子供を産むもんだが、コイツの場合は他の妊娠した牛と比べても、ちょっと落ち着きが無かったからよぉ…。だから、大好きな飼い主が側に居てやったほうが安心すると思うんだよ。