さすらいの旅人さん 2017-06-22 13:35:57 |
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勿論寂しいさ。キミはせっかく出来た友人だからね。
( 何の確証もない事を再度断言する彼に、態と大袈裟な素振りで上記を返して。そしてまた真剣な面持ちで問い詰められたのは、すっかり偏ってしまったような彼の独占欲と執着心の塊を露わにしたもので。感情を表現する事が非常に苦手な自身にとって、核心を問われるその言葉は実に辛いもので。本心を伝えるのが怖いなんて若造じゃあるまいし、と踏み止まる事しか出来なかったが、チェシャ猫である自分自身や、城の人間、女王、住民全員を含める此処不思議の国を甘く見ているから、帰らないと言えるのだ。「_…そんなに閉じ込められてぇか。この世界から、俺の腕から逃れる術はないと…覚悟は出来てンのか、」不思議の国は、実質危険な国で。下界から迷い込んでしまったアリスは最終的に皆殺されるなどという不謹慎な噂まで立っていて、心のどこかでそれを恐れる自身は脅すように声を低く落として、少しばかり乱暴に彼の肩を引き寄せて耳元で囁き。ずっと変わらずに三日月を浮かべていた口元ですら力強く冷淡な印象を受け、…と暫くすると人格が変わったようにパッと手を離し、再びにこにこと微笑んでは「なあんて。あんまり俺を嘗めて掛かっちゃ困るよ」態とらしく小首を傾げて。何事もなかったように相手の言葉に「不思議の国の住民にとっては、セシル君がクレイジーな存在さ」おちゃらけた様子で引かれた手に従い。…漸く、ざわざわと風に揺れる異色植物が生い茂る森へ誘い込むようにして続く小道の入口に辿り着けば )
_おっと、着いたみたいだ。さあ!薔薇摘みに行こうか。
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