雪月桜(月) 2017-06-17 22:28:12 |
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だが、一度芽生えた感情は、燃え広がる炎とはよく言ったもので、神田とてそれは変わらない。
いや、既にその炎を自ら消す気はもはやないと言ってもいいだろう。
そんな思考を巡らせていると、室内に待ち人の足音と声が耳に届いた。
「神田!お待たせしました!」
勢いよく開かれた扉から現れたアレンは、かなり急いで来たらしく呼吸が荒い。
その動作に微かに驚いた神田の瞳には、呼吸を整えるアレンの姿が写る。
視線に気づかれる前に、冷静さを取り戻した神田の正面には、苦笑を浮かべるアレンの表情があった。
「やっときたか、で、何のようだ」
視線を逸らし告げる神田の態度は、僅かにアレンの機嫌を悪くする。
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