透 2017-05-31 20:38:24 |
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全てが柔らかな暮色を帯びる黄昏時に、俺は五歳くらいの女の子と歩いていた。
周囲は閑静な住宅街。すれ違う人はなく、視界の端には塗装の剥げた遊具が二つ三つ転がされた公園があった。
女の子と言っても視認している訳じゃない。傍らに在るのは透明な気配と上服を引く弱い力。
不思議と其れを女の子と認識し、当たり前のものとして受け入れていた。それどころか、少し眠たげで虚ろな表情までみえていた。
言葉を交わす事も、帰るあてもない。二人きりの世界をただ只管歩くだけ。然し胸中は穏やかに凪いでいた。
――という夢。不思議なくらい何も起きなかった。
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