恋人ごっこ、　[指名.週間ﾘｾ／再]

佐田→塚原

(食欲を刺激する出来立て特有の温かな香りがフワリと鼻をつき、テレビから視線を放した。目の前に置かれていく皿を目で追っていく。あー旨そ、けど肉ちっちぇー。しかし続いて目の端にうつったオレンジの忌まわしき物体にピタリと動きを止める。「おい…」抗議してやろう、そう相手の方へ勢いよく振り向くと、何故か目の前には相手の顔。驚きでぱちり、とひとつ瞬きを。…ははぁ、なるほど。そこそこ勘はいいほうだから、凡その検討はすぐにつき、フッと意地の悪い笑みが漏れた。「ノーロマ、こうやんだよ。」相手の背後から手を回し、トンと背を押し近づけて、彼の項へ触れるだけの優しい口付けを落とし。)


西嶋→佐原

了解。それじゃあ僕もとっておきのとこ考えとかなくちゃな…佐原くんはどういうとこが好き？
(駅前の店なら自分も何度か見掛けたことがある。小洒落た雰囲気だけど嫌味がなく、いい店構えをしていた。あまり酒は飲めないので、ワインを売りにしてるというのが唯一気がかりなのだけど…、悩む内に既に選択肢は無くなっていた。可愛い後輩のオススメだし、悪いようにはならないだろう。それにワインなら比較的度数も低い筈だ。湧いた迷いを断ち切るようウンと頷き、代わりに彼の好みを聞き出そうと問うてみて。少し下にある彼の頭を眺めながら、無邪気な笑みも時には恐ろしいものだなぁなんて、内心苦笑いをしていた。無意識に彼の頭にポンと手を置いたところで、腕時計が目に入り。)
…っと、遅くなっちゃう前にそろそろ出なきゃね。新しいとこだと混んでそうだ。