и 2017-05-21 21:01:45 |
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…、え、と……。
(不自由なく暮らすことが許されているのに孤独を感じて、それがどうしようもなく切ない気持ちになってしまう、なんていうのは随分と傲慢な言い草だろうと、内心で先の自分を叱るも、何故だか余計に込み上げて来る物があって。情けなくも瞳が一瞬潤み、念の為に擦っておこうかと手の甲を上に上げようとした最中、途中でぴたりとその動きを止め。音も声もしなくとも何となく悟ることができる、人の気配と、誰かの視線があるような気がして、そろりと背後を振り返った途端、思わず瞳が見開いて小さな声ではあるもののぽつりと呟いてしまい。見覚えの無い、背の高い男の人だった。そもそも男の人を見ることが少なく、今日も精々学校の教師や街を往く男の人を見たぐらい。この屋敷内に仕えている男の人もいるのだろうが、ここ暫くは一人も見たことがなかった。ただ、一番に驚いたのは相手の双眸かもしれない。夜空によく似合いそうな黄金色の瞳はまるで月のようで、それでいて細く強い、まるで針のような視線で己を睨んでいた。綺麗過ぎて何だか人間味の無いような相手の両目に圧倒されるも、やがて意識が戻り「…どちらさま…ですか…?」とにかく名を聞こうと口を開いたが、自分より随分と背丈が高い点から間違いなく年上だと予測がついたこと、そして鋭く睨む相手に対して少なからず恐怖感があり、敬語でそんなことを尋ねるも何処となく尻すぼみな声になってしまい)
(/いえいえ、それは此方も言えることですから、お気になさらず。これから何卒よろしくお願いします!)
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