и 2017-05-21 21:01:45 |
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( 痛みには慣れているが、どうしても慣れないのは身体に直にかかる術の所為だろう、まだ抜けきっていないそれは重くて呼吸をするのですら嫌になるほどしんどくなっており。僅かの間、ほんの一瞬だけかもしれないが気を失っていたのか遠くから聞こえてくる声は何故だか今にも泣きそうな声。誰が自分の為何かに泣くのか、誰が自分の為何かに心配をするのか気が知れない、徐々に戻りつつある意識をその声の方へ向けながら瞼を持ち上げて見れば霞んで見える視界の先にまた、あの幼子。どうしてこうも関わってくるのか、霞んでいても分かる空気に伝わる感情のそれは今にも泣き出しそうなそれで、僅かに動く手を上げようとすれば握られているのに気付いて少しだけ強引にその手からすり抜け相手の頭に軽く触れようとするも我に返るようにして手を引っ込め「 黙れ…喚くな。さっさと戻れ……、二度と近付くな。 」苦痛と苛立ちと様々な感情を抱え込み、眉間へ深く皺を寄せれば衰弱していても伝う空気を冷やす程の殺気を放ち。拒絶の言葉はこれ以上関わって欲しくないためのもの、お互いの為にもこれ以上は危険だと本能の奥で警鐘が鳴り響いていて。この幼子が心配する必要も気にかける必要もない、無論それは自分自身だって同じ、声を掛けることもましてや触れる事さえ赦されていないと言うのに。何がこんなにも狂わせてしまったのか、あの日本を取りに部屋から出なければ良かったのかもしれない。途中から気付いていた、違う小さな気配があるという事、引き返して居なくなるのを待つのだって出来たというのにそうしなかったのは、心の何処かで眠る好奇心の所為か。もしも見つけたとしても声など掛けず気配を消して去れば良かった話なのに、何も無かった事に、無視を貫き通していれば良かったのに喉に引っ掛かった魚の骨みたいに頭の片隅で霏を掛ける。少し奥歯を噛めばゆっくりと立ち上がり「 夜明けだ---、自分の世界に帰れ。 」遠くから聞こえてくる鳥の囀り、きっと外は薄青い色に染まった夜明けだろうか。キロリ、と再び黄金色に瞳が一瞬輝くと獰猛な蛇のようなその眼で相手を一瞥しては部屋の襖を開けて中に入って行き )
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