и 2017-05-21 21:01:45 |
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……私が、このお部屋に近付いたことで怒らせてしまったのなら…ごめんなさい。
…でも、帰りません。私、どうしても昨日聞いたお兄さんの言葉が忘れられなくて…、意味が知りたくて…それで……。
(何度も聞いた訳じゃない、されど強く聞き覚えがあると感じる声音。思わずびくりと肩が跳ね、ゆっくりと音源の方へ顔を向け。何となく悟っていたことだが、やはりそこに立っていたのは昨夜のあの人で。そして自然と目が行くのは、自分には備わっていない綺麗な瞳。暗所でも輝く金の両眼。願い通り、また会えた。望みが叶った。思いがけない出来事に一瞬気持ちが昂るも、すぐに目を伏せ視線は床へと向かい。どうやら確実に自分はこの人に嫌われているらしい。他を拒むように細められた目と、まるで室内の温度さえ冷やしてしまいそうなこの声音が証拠だ。ひょっとすると、この和室が彼の自室なのだろうか。それなら彼が怒るのも当然だ。見ず知らずの人間が立ち寄ればそれは誰でも嫌がるだろう。突然のことが重なり、少なからず混乱状態の頭からは先程見ていた”鬼の間”という部屋名についてはすっかり抜けてしまっていたが、幾らか間を置いた後、申し訳なさげにぽつりと溢し。ただ、何故だか意図していない言葉が口から滑り落ち続け。けれどそれも突然詰まってしまい、最後は何だか以前と同じような不甲斐無い声音になっていて「…教えてくれませんか、私に」帰れと言われているのに。嫌われてしまっているのに。嫌だと言って、意図を知ろうと頼み込んで。酷く欲深な子供だとは分かっている、それでも、もう少しだけこの人に近付いてみたいと願うのは、そんなにも許されないことなのだろうか。しかしながら相手の様子を見る限り、眠たいというよりも疲れている雰囲気がある。そんな中他人の相手をしなくてはいけないこの人の立場になってみれば、申し訳ない限りというもの。仮にもう一度断られた場合は大人しく引き下がろうと、決意もそこそこに俯いていた顔を上げ、両手を胸の前で握り締めると、最後に一言返答を乞えば)
(/色々とお気遣いありがとうございます。また何かあればお声掛け下さい…!)
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