и 2017-05-21 21:01:45 |
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(間も無く図書室も閉館時刻となり、持ち出していた本も元通りに戻し。結局自分の知りたかったことは分からなかった。学校の図書室では資料の数にも限度があるのだろう。街の図書館に出向いて調べる必要があるのかもしれない、なんてことを思いながらぼんやりと滲む夕暮れの空を見詰め、屋敷への歩を進め。ただ、いつもの日々と異なったのはそれだけで、帰宅してからは普段と何ら変わりはない予定で時間は進み。やがて夕食の時刻になり、女中の後を追うと、当然ながら昨夜あの人と出会った縁側に繋がる和室の目の前も通りがかり。と、もしかしたら今日も縁側に出ていればもう一度あの人と会うことができるかもしれない、なんて傍からすれば実に単純だと思われてしまうような考えが浮かび。しかし関わるなと言われてしまった手前、こんなことを思っていること自体が相手には迷惑かもしれないし、少しだけ、あの人の目は怖い。けれど、どうしてもあの目が頭から離れない。もう一度だけ、ほんのちょっとで構わないから、願いは叶わないだろうか。僅かな期待を込め、歩きながら右手をぎゅっと握ると一瞬鼓動が早まった気がした。少し早めに箸を動かしながらあくまで平常心を装いながら食事を進め、度々薫と対話し、やがて席を立ち。あと少しで、あの人と、もしかしたら。嬉しさと緊張で僅かに頬が赤く染まるが鏡もないので自身では気が付くことはなく。されど、茶の間の襖を開けた途端、紅潮は一気に冷めていき。廊下には女中が二人、まるで己を待っているかのような姿勢で立っていて、何も言わず見詰める自分に今日はこのままお勉強致しましょう、なんて情も感じられない声音で言葉を掛け。何も反論せずただこくりと頷いた己を女中は一瞥し、前を向いて歩き出す。己はといえば重い脚を引き上げながら相手を追い、もう一人の女中が自分の背後に立ち、同じように己の後について歩き。嫌だと言えば、必ずこの二人は理由を問いてくる。そうかといって本心を溢すことは考えなかった。何となく、あの人のことをこの二人には知られたくなかった。理由はわからない。ただ生まれたのは、冷めていく感情や動き出した脳を思えば、先の自分は随分と高揚していたのだなという感想だけで。その際、心の隅に浮かんだ正体不明の感情を抱きながら自室へ戻り。それから就寝時刻までは勉強や風呂に時間を使い、この日の内にやるべきことを済ませるともぞもぞとベッドにもぐり。しかしいつもの睡魔は何分待っても襲ってくることがなく、仕方なく時間潰しに眠りにつく直前まで閉ざした瞼の奥で未だ心に引っかかる感情の名を考えていたからか、真夜中唐突に目が覚めてしまい。枕元に置いてある時計に目をやれば、時刻は調度一時過ぎ。今までこんな時間に起きてしまうことはなく、聊か驚きながら体を起こし、カーテンに覆われた窓から外を覗いてみて。予想通りではあるが、やはり動くものは無く。こっそり部屋の外へ顔を出してみても、物音一つ無くまるで海底の如く静まり返っていて。誰もいない、訳では無いが、誰も見かけない屋敷というのが珍しく、無意識にも胸が高鳴り。思えば屋敷内にいると常にといって良いほど女中が後を追って来て、自分一人で行動したことがない。未だに出向いたことがない場所もあるだろう。今日だって悪く言えば女中に邪魔されたのも同義、少し不満がある。少しだけ屋敷を探検というのも悪くない、楽しげに笑みを零し、自分が起きていると誰かに知られないように出来るだけ足音を小さめに歩き始め。玄関や食事をする茶の間の方には行かず、いつもは行くことがない使用人の部屋や厨房の前を横切っていくと、何となく窓の数が少ないことで月明かりが少なく、廊下全体が暗くなっているのだと気が付き。やがて道は一本になり、何だか周りとは雰囲気が異なる道に緊張しながらも、恐る恐る歩を進め。と、突然床に備えられた灯りが蛍の光のようにぼんやりとした光を放ち始め、思わず驚きで声が漏れそうになったところを堪え。すると右に曲がる道があることに気が付き、そちらの方へ足を進めると角の奥は襖によって隔絶されていて。近くの壁に書いてある”鬼の間”という言葉の意味に思わず首を傾げながらその場で考え込み)
(/明日まで、なんて言っておきながら返信が一日遅れで申し訳ないです、ごめんなさい…!!色々と想像で書いている所もあるので確認お願いします…。
採血のシーンもご丁寧にありがとうございました。此方、生々しいのが大好き人間ですのでお気になさらず←)
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