и 2017-05-21 21:01:45 |
通報 |
( しん、と静かな自室はやけに自分の心臓の音や息遣いが無駄に大きく聞こえてしまい鼓膜に届く度に苛立ちが募ってくる。ベッドの上に寝転んで、薄暗い天井を真上に仰向けになり瞼を閉じて寝てしまおうとしていたのに、襖の向こうで先程から近付いてくる気配を感じ取っており嫌な予感がしたが、やはり。部屋の前で止まる足音の数と重さ、息遣いは男のもの。静かに瞼を持ち上げると低い男の声が聞こえ、暫くは天井を見上げていたが相も変わらずして引こうとしないその様子に小さな舌打ちを零すと起き上がり襖を開け。目の前に立っていたのは己と殆ど変わらぬ背丈と、しかし黒いスーツの上からでも分かる屈強な体つき。僅かに視線を落とした自分の手許には呪術の組み込まれた札が数枚出されており、目元を僅かに細めるもそのまま拳を握り両手を差し出すとその手首に札を貼られ、すると途端に鉛のように重くなる身体、徐々にではあるが気力を抜き取られる感覚に顔を顰め。これにだけは未だに慣れなくて、それでも連行されるような形で部屋から出されると自室より更に奥、足元から底冷えするようなその暗い廊下を進んでいきその先にはこの邸には到底似つかわしくない重厚な鉄製の扉が見えてきて。南京錠の掛けられた扉の鍵が外され鈍く低い音を立てながら開けば中は同様に暗く、所々頼りない蝋の光が薄ぼんやりと浮かび上がっているだけで、入るのを躊躇うが背中を押されては大人しく入って行き。背後越しに閉まる扉の音を聞くと小さく息を吐いて「 あの老婆も暇なもんだな。 」薄明かりの中でも分かる目の前には天井からぶら下がっている鉄製の手枷、鼻腔の奥を刺激するような重い血の匂い、思考を少しずつ奪うのは部屋の隅で焚かれている香の煙。僅かに口の端を持ち上げて歪んだ笑みを浮かべて皮肉を零せば頭に強い衝撃が加わり、思わず蹌踉めき。それから数発全身を強打させられるとこの部屋では抵抗も何もできなくて、崩れ落ちそうになる所を抱えられては手枷で両手を括りあげられ、百八十を超える体が足が付かない程度に浮かせられると腹に拳が飛んできて。この拷問とも呼ばれるこれは、血を奪うためのもの。当主である薫に鬼の血を与えるためのもの、男らは薫の付人でありボディーガードでもある。自分の身体に痛みを走らせるのは普通の人間には敵わないはずだが、何かしらで薫から呪術の一部や香などを伝授されているのだろう、1週間に何日か定期的に血を抜き取られ、また変な行動を見せた時も罰としてこの部屋へと連れてこられることになっており、幼い頃から何度も繰り返してきたがやはり慣れるものではない。強い衝撃が何度も何度も身体に降り注いで、どれ位経っただろうか、数分か数時間か、部屋を出る時には夕方だった、ふと何故か昨日出会ったあの幼子の顔が脳裏を過ぎり、僅かに眉間へ皺を寄せ。思い出す必要もないのにどうして思い出してしまうのか、視界が霞んでいく中でその思考に苛立ちを覚えて「 全員、消えれば良い…… 」か細い声で呟いた声は誰にも届くことなく顔に拳が飛んできては意識が飛んでいき。 どれ位の間飛んでいたかわからないが気がつけば手枷が丁度外される所で、冷たい床と素足の自分の足をぼんやりと見下ろしていれば外されたと同時に腕の痛みと脱力に襲われては蹌踉めくように倒れそうになるが脇から男らに抱えられては引き摺るようにして部屋を出て行き。遠くから聞こえるのは夕餉の支度の音だろうか、殆ど回らない思考の中でそれだけを考えながら大人しく自室まで引き摺られて行き )
( / 少し採血()についての描写を入れておきました。生々しいですね、ほんとに←
こちらも色々要望を聞き入れ素敵なものへと完成させたいのでよろしくお願い致します。
背後も失礼致します。 )
トピック検索 |