猫さん 2017-05-20 18:00:41 |
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(詰まる様に縮められる距離は逃げる事を許さぬようで堪らずに向ける目線の先を再び地面に落としてしまい、その油断も相まり巾着を引かれると慣れない下駄のせいで足を留めることが出来ずにヨロリと縺れ、引っ張られた方向へ其の儘よろけると反射的に伸ばした手の平は彼の肩口に触れて。倒れ込むまでは行かなかったが凭れる様に触れた手の平からブワッと広がる様に熱が生まれて、パッと水と油の様に触れた手の平が跳ね離れると「――危ないだろッ、足挫いたら祭に行けなくなる」最初は叱咤するような強めの口調で、後者はもごと口籠る様に浴衣姿の彼を見てすっかり祭り気分に流されている表れで。照れ隠しにクルリと背を向けてしまえば素直になれない思いを少しでも表現するように、しゅるりと長い尾を彼の身体に触れさせて「置いてくぜ」素直は尻尾は名残惜しむ様にツーと最後まで彼に触れ、先端が離れた所で熱を持ち照れ臭い顔は依然変わらずに彼に向けることが出来ず、正面を見るばかりで。ゴロゴロと喉奥を燻る様に鳴らして不器用なりの誘い文句を。)
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