詰め合わせ  〆

＿ こちらこそ有難う、だけどまだ仕事中なんだ。もし君が良ければこの後、一緒に飲まないか？

( 歌も終わり、静かだった店内はまた活気を取り戻したかのようにざわめき始め、何時も通り少ししたら仕事へ戻ろうと思っているとお酒を運んでいる相手をチラリと見掛ける。だが、己には関係ない。ただ歌を聞いているだけの自分には話す事などない、なんて決め付けようとした時 ─ 相手の優しい声に視線を移せば本来ならステージ上でしか見れない彼女を目の前にし、急に変な汗が出そうになりつつ愛想の良い相手に上手く笑えず。近付きたい訳じゃないけれど、何故だか心も綺麗な相手の腕を咄嗟に掴み訳も分からないまま上記を口にしていて。咄嗟とはいえ、腕を掴んで引き止めてしまった事への罪悪感から直ぐに「 あ、悪い。その.. 今のは気にしないで貰えると助かる 」と焦り離れて )