主人 2017-04-17 00:57:10 |
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( 彼の反応に、少々心配になる。外を見渡すと、暗闇の中主人を見詰める一人の女性。それは彼の瞳について聞いていた女性である。何だろうか、主人に好意でも寄せているのか、否、それはない。しかし、一目惚れと言うのも有り得るだろうか。勝手に妄想を繰り広げては、何処か女性への敵対心が芽生えるのを感じ、己の醜さに気がついた。 ___そそくさと馬車に乗る彼。己は馬車を走らせる者に、指示を出していた故、乗るのは彼より少々後。数分しかたたないのに、いつの間にか寝息をたて始めた彼の横に座る。がたごとと揺れる馬車の中、彼は窓に頭を当て、それさえも揺れにより何度か不安定な状態を繰り返していた。いつの日か見た、彼の寝顔と一切変わっていない為、何処か微笑ましい上に、己だけが知っていると言う特別感さえも感じていた。寝苦しい体制であろう彼の首を己の肩に寄り掛からせ、何だか濃い一日となった本日を振り返りつつ、彼がふとした瞬間に落ちない様、見張る。この僅かな移動時間すら、彼の隣に居ると幸せ。___自宅へ到着しても尚、なかなか起きない彼。しかし疲れた彼を無理矢理起こすのは、何処か可哀想な気もした。少々身長は劣るものの、これぐらいなら大丈夫だろうと、彼の身体を背中に乗せ。ゆっくり馬車から降り、彼の寝室へと運ぶ。時折首にかかる規則正しい呼吸の音に、くすぐったさを覚える。ベッドに彼の身体を乗せては、 「 おやすみなさいませ 。 」と小さく囁く。彼は一つの隙も見せない。しかし、こういう己に信頼してくれているからこその行動に、思わず嬉しくなったりもするのだ。眠る彼に小さく微笑みがけ、寝室から出た。今更ながら、彼がずっと起きていたのなら、己のしたことがばれていたらどうしようか、少々心配になる。嗚呼、己も疲れたし、早めに寝てしまおう。ゆらりゆらりと廊下を歩いては、使用人達には会わず、そのまま己の部屋へ___ )
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