主人 2017-04-17 00:57:10 |
通報 |
(こつこつと靴の鳴る音が響く。それに加えて人々の賑やかな話し声、華やかな音楽が聞こえた。ふと、主の目の前に立っている一人の女性。己は初めて見た顔だが、どうやら彼も同じ様子だった。その彼女の口から紡がれたのは彼の瞳について。鮮やかな色に秘められた、彼の思い出は、己もよく聞いたことが無かった。しかし、初対面にしてそのような事を聞くのは、少々失礼にさえ感じるものだが、彼の態度は何時もと変わらなかった。さっさと進む彼、礼をする女性に一礼しては彼の横へと駆け。 「 御主人..、大丈夫でしたか? 」彼の横に再びつき、第一声を発してみた。言葉選びに悩んだものの、一番シンプルかつ分かりやすいだろう言葉を。 ) おめでとうございます 。 ( 彼の、何処かよそよそしい話口。目の前の男性は、この家の主、彼がお目当ての人物なのだろう。彼に続いて、小さくもそう言葉を述べる頃には、鼓動の音が聞こえる程に緊張していただろう。男性の視線に、己は写っていなく、御主人が独占していた事に安心した。しかし、彼等の会話から聞こえる声色、表情は優しいものの、その内容は何処か刺があり、居心地の悪さを感じ、彼の言っていた内容の意味を理解した。一番居心地が悪いのは主人なのだろうが。ふと、彼らが話終わると同時に現れた今日の主役、写真で見た少女だ。彼女がもの不思議そうに見るもので、何かと思うと視線には薔薇の花束。 主人から向けられた視線と、自己紹介の続き。 小さく礼をすると、「私、アレン・マーキュリーと申します。本日は私までもが、このような会へ御呼びして頂き、誠に光栄です。」 と、得意の笑みを向けつつ、いい終えると最後にもう一度礼を。いまだ薔薇を見詰める少女の前、やはり早く欲しいのだろうか。主人に薔薇の花束を渡して、彼からあげた方が良いのだろう。しかし、今すぐに渡さねば少女の機嫌を損ねてしまうのかもしれない。嗚呼、どうすればよいのか。主人に渡したところで、ボイコット家の主と話しているし、困るだけか。仕方なく、少女の前にしゃがみこんでは、微笑みを浮かべつつ持った薔薇を差し出し。)ささやかですか、我々から誕生日プレゼントで御座います。御誕生日おめでとう御座います。
トピック検索 |