文芸部という名の秘密組織の一員 2017-04-16 17:24:30 |
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君のいちばん
『好きだよ』
最初は凄く嬉しかった言葉が、今では凄く嫌いだ。本音のはずの言葉が偽りだと気づいてしまったから。
『ねぇ、何であの子にも言うの? 』
そんな風に問いただしてみたい。でも、当然私にはそんな勇気は少しもなくて。曖昧に笑うことしかできないんだ。
久し振りのデートの日。話してると、突然携帯の着信音が鳴った。
「え、今日は......仕方ないな、今から行く」
通話を終了すると、申し訳なさそうな顔をして謝ってきた。
「ごめん、急用入っちゃって。今日のデート無しでもいいか? 」
「いいよ。用事を優先して? 」
辛い。私の方が先、だったのにな。きっと相手はあの子なんだろう。あの子が本命なら振ってくれればいいのに。そんなことは知らない彼は急いで走っていく。あーあ。一人でいるのは寂しいよ......。
気づかれないよう、静かに彼の後を追う。何をしているんだろうか。ただの興味本意だった。見なければ良かった。彼とあの子がキスしているところなんて______。
元々あの子との噂は立っていたから不安だった。あの子は可愛いし優しくて凄くいい子だから、噂が本当かもしれないと覚悟していた。それなのに......凄くショックを受けている自分がいる。笑い合っている二人なんて見たくない。お似合いなのが余計に嫌だ。
家に帰ると、我慢していた涙が一気に溢れだしてきた。もう無理。一緒になんて居られない。笑っていられる自信がない。貴方を笑顔にさせてあげられる自信が、ない。
暫くして涙が止まると、覚悟を決めて携帯の画面に触れる。もう終わりにしよう? その方がお互い楽になれるから。文字を打つ指が震え、何度も何度も打っては消してを繰り返す。本音を言うと別れたくない。......そっか。私、本当はまだ彼女でいたいと思っているんだ。
『ねぇ、別れよ?』
意を決して短く文を送ると、すぐに返信が返ってきた。
『急にどうしたんだよ』
『私のことなんかそっちのけで彼女とデートしてるくせに。あの子が本命なんでしょう? なら、別れようよ。私、もう疲れたの』
思っていることを一気に吐き出す。別れるのなら、最後くらい良いよね?
『気付いてたのか。しょうがないな。彼女でいてくれて有り難う。じゃあな』
冷たい。否定しない上、もうこれ以上コメントを返してくるなって無言の圧力をかけられてる気がする。なんかもう、どうでもいい。
さようなら、大切な人。最低で、人の気持ちを考えてなくて、何度も嫌な思いをさせられてきた。それでも......ずっとずっと、大好きでした______。
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