文芸部という名の秘密組織の一員 2017-04-16 17:24:30 |
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ナイトメア
「さあ、始めようか」
ぐつぐつとクスリで煮込み始めるそれは、紫に変色しつつある林檎だ。属に
言う" 毒林檎 "である。今日も来客が来る前に美味しく仕上げておかなくては。
「これを食べてごらん。素敵な世界に行けるから」
そう言って差し出すと、客は喜んで口にした。ふわりと甘い香りが漂ってくる。まだチョコレートも残っているから、好きなだけ食べていくと良い。特別、お金とかは取らない。遠慮なくどうぞ。
奥に進むと、軽快なステップで星猫が踊っている。
「このカクテルは如何ですか? 」
病み付きになったらもうすぐだ。もう少しですべてを教えてあげる。頬を赤く蒸気させる客の手を取ってエスコートして告げる。
「僕たちから離れないでくださいね? 」
振り向くことも禁止だ。大きなハサミを持った怪物に狙われちゃうからね。
鳥たちが悲しそうな声で歌っている。
「歌とダンスなら、どちらがお好きですか? 」
「え、あの...... 」
怖がらなくても大丈夫。ほら、もっと奥まで進もうよ。
「君さ、さっき毒林檎食べたよねぇ? 」
「あ...... 」
一瞬にして青ざめる。そうそう。いつも思うけれどこの表情を見るのが堪らなく楽しい。頬が緩むのを我慢しながら問いかける。
「さっきの答え、聞かせてよ。歌とダンス、どっちが好きなの? 」
想像してごらん。星猫と鳥、君に似合うのはどっちなのかって______。
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