保有者A 2017-03-29 17:44:51 |
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>>橘
【 旧市街地 → 軍事施設前 】
(生暖かい気流は先程より地上に近付き大きく砂埃を掻き立て視界から世界を掠めさせる。世界だけでは無い、その数秒も経たない一瞬は背後で己を呼ぶ声ですら砂と塵に乗って高く舞い上がり後世へと消えて行き。必至、瓦礫の微小の小石を蹴り付ける駆け足が遅れて鼓膜を振動させ何かの存在を知る。「ーー…橘?」振り返れば良く見慣れた男の姿、脳裏を掠めた嫌な予感は泡と弾け代わりに小さな息を吐く。正確には安堵した。やはり何度訪れてもこの場所には慣れる事は無い、どんなに駆り出されようが緊張情勢を解く鍵穴は見付からずにずっしりと背に重くのしかかるが如く。喩えるなら猛獣を飼い慣らす檻の中にたった一人丸腰で閉じ込められたかのよう、外界だと言うのに囲いの中にいる感覚。酷く据わった瞳で彼を見捉え「もう施設に戻る。此処の所、空気が乾いて喉が良く乾く。」持参した水分もそこを尽きて熱の篭った軍服が内側から体内の水分を奪い。足を止めて彼が近付くまで待っていた身を再び前方へと向け、蓋をした小瓶を何本か内ポケットの中へと放り込み。何も言わずともついてくるだろう、合図なく歩き始め。)
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