迷子な主人公さん 2017-03-26 19:17:44 |
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(変だな、と思う。数十分前まであんなにも怖くて不安で堪らなかったのに、今ではこうして普通に過ごして食事なんてものを作ろうとしている。目の前の彼と出会えたのはこの世界に来て唯一の幸運だったのかもしれないなぁ、なんてのんびりと考えていれば、突然頬が圧迫される感覚に見舞われ我に返り。観察してみれば相手の片手が自分の頬を挟んでいるよう。「…なんでひゅか」頬を挟まれているせいか舌がうまく回らずに変な言葉になりながらも目線を上げてこうした理由を相手に求め。けれどそれも直ぐに外れて、先ほどの自分の問いに答えるつもりか下へ降りていく後ろ姿。それに少し早足気味に追いかけて。男が足を止めた場所、そこに自分も並ぶように立てば開けられた蓋の中身を除いて目をまんまるく見開いて。これでは流石に少なすぎる。見たところ彼はここに一人暮らししているようだし、いつもどんな食生活を送っているのやらと少々不安に思い。そんな考えを膨らませている間に、再び閉められそうな蓋。確かに普通であれば食事を作れる材料ではない、でも工夫次第でどうにかなりそうだと思い立って「待ってください!」と静止をかけて。じゃがいもも、芽を取り除けば使えなくもない。取り除き方も以前学校で習ったことがある。一部、見たことのないようなものもあるけれど食べられなさそうな様子は見られない。「作れる、と思います。…えっと、この当たりのものは使ってもいいんですよね?」炊事場へど移動し、きょろきょろと見回しながら問いかけ。そもそも現代のキッチンに慣れている身としては使えるかどうかは不安だが、どうにかなるかと前向きな思考で。)
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