迷子な主人公さん 2017-03-26 19:17:44 |
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八咫烏…?…あ、だから羽が生えてるんですね!
(相手の口から告げられた名前、その3文字を自分の中にすり込むように心の中で反復し終えて。ふと彼の言葉の中に気になるワードを見つければすかさず復唱し、まじまじと目の前の姿を見つめて。そういえば背中に黒い翼があるし、それで飛んでいたなぁ、とここまで来る最中別のことに意識を飛ばしていたため今更ながらに実感し納得したようにぽんと手を叩く。そしてわかったことがもう一つ。いま、口に出す気はないものの、彼は自分自身のことを妖だと告げた。つまりはいま自分がいるのはその妖の世界なのだろうかと。妖なんて物語上のモノに過ぎないなんて以前の自分なら思っていただろう。しかし現にこの目でこの世界の住人の姿が己とは違う形をしていたことをしっかりと見ている、存在を認めるしかないだろう。…取り敢えず、追い出されない限りは住む場所をえることができた。妖の世界だなんて不安要素しか浮かび上がらないが、必ずや元の世界に帰ってやろうと持ち前の前向きさで心の奥でひっそりと決意を。して、自己紹介の際に見せた彼の僅かな照れ顔らしきものが脳内から離れない。出会ってから今まで気難しく、とっつきにそうだとは思っていたけれど案外そうでもないのかもしれない。現に今も自分を気遣うように空腹具合を問いかけている。そんな様子に、この世界に来てから初めて頬を緩めた表情をし、「そうですねー、なんにも食べてませんから。――あ、伊墨さん。もし食材でもあるんでしたら私が作りますよ?」これでも一人暮らしのようなものをしてきた身だ。おいてもらえるんだったらそれを生かさずにどうするのかと、了承も得てないのに何処か張り切っている素振りみせ。)
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