迷子な主人公さん 2017-03-26 19:17:44 |
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( 口煩いかと思えば、急に黙り込んだりして不思議そうに顎に手を遣ったまま大人しくなった少女を見下ろす。…先程もそういう事があったような、と思い返してみれば家に来る直前もそうだった。近付くと大人しくなる事を学び、覚えの悪い鳥頭に反復させて叩き込んでいると鈍い返事がやっと相手の口から出て来れば、何かあれば追い出しても良いという同意が取れたも同然で口の端をニッと上げ。
一段落したとも言える状況を脳よりも先に体が反応すると急に空腹感が襲う。いつもふらりと飲みに出たりしているが少女が居る為そうも行かないし、少女の分も食料が必要だ。出逢ってから頭を使わされてばかり、コレだから面倒事は嫌いなんだ、と額に手を遣り溜息を一つ溢すと名を聞かれ、名乗る事をすっかり忘れていた事に思わず苦笑を漏らし「 ん、嗚呼……悪い、忘れてた。俺は伊墨だ。…まァ見ての通り、人間じゃない。八咫烏という妖だ。 」こんな風に改めて種族について話す事など無く、少々気恥ずかしそうに視線を彷徨わせ頬を掻き。「 ──…腹は減ってるか? 」他人を気遣うというのは何と難しい事か、苦戦しながらも問い掛けて。 )
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