迷子な主人公さん 2017-03-26 19:17:44 |
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──…妙な格好だったな。
( 何でもする、なんて言うからつい連れて来てしまったが人の子の世話などした事が無く、二階にある部屋に来てからは途方に暮れていて。赤枠の障子を嵌め込んだ丸窓に座り、片足を枠に掛けもう片足は部屋側に放り出して、静かに考えを巡らせる。先程は仕方無く売物の衣服を渡したが…そういえば見た事の無い複雑な布を纏っていた。職業柄新しい物には敏感で人間は皆あんな物を着るのかと不思議そうに首を捻れば、他の部屋よりかは幾らか小綺麗にしているこの部屋が目に付き。寝る部屋にしているから物が少ないのだが、他の部屋は何かと散らかっていて布団を敷けるスペースが無いし何より布団が足り無い事実に気が付けばガクリと肩を落とし。「 ……下で寝るか。 」幸い店には畳を敷いた小上がりのようなスペースがある為、今日は其処で寝る事に。
そんな思案を巡らせている最中、何やらゴトゴトと下から物音がするものだから非常に気になって。「 ? …何やってんだ…? 」まさか売物を盗む気では、と部屋を出て階段から頭だけ覗き込んで見てみると、風呂場の前の物は端に寄せられスッキリしており。静かな家の中、ぴちゃりと水音が響くだけで。考え過ぎか、とわしわし頭を掻きちゃんと言付け通りに湯浴みしている事が分かると、部屋の丸窓へ戻り上に来るのを待ち。 )
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