サイノカミ 2017-03-23 21:54:40 |
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>月子
(相手を離した腕の中にスウッと冷えた風が入り込むと肌寒さに顔をしかめるが、無論その表情は寒気での為だけではなく。繰り返される嫌うだ何だという問いは黙殺してもようやく耳にした相手の名にはつい視線を動かしてしまい、しかし見下ろした先にもう淡い色の髪は見えず遠ざかる足音だけが胸の中に響けば自ら突き放したくせにチクリと痛む胸に一層表情を歪め。「……誰がお前を嫌えるものか」そう吐き捨てはすれど、だからこそ離れてやらねばならないのだと己を苛む己の声は止まず。パーッと太陽のような笑みを浮かべる下男の元へ向かう相手を見届けては、あれで良いのだと何度も自分に言い聞かせながら二人に背を向けて)
【送り犬】
え?えーっとですね、まずはお風呂へ行って、そんで月…つっこちゃんのお部屋へ行って……うん、今日はもう遅いんで、行けるとこと言やそんだけ……ですかね。
(子供ならば少々おっかない顔の大人よりもフサフサフワフワの犬に飛びついてくるもの。今回もそれを期待して尻尾を振りながら相手を待っていたものの、並々ならぬ雰囲気を漂わせる二人に阿呆と言われる自分でも流石に何かを感じ取り戸惑いつつ双方の顔を交互に見やって。少女のほうが沈んだ顔のままこちらへ歩いてくると慌てて問いかけに答えるが、口調からして本当はどこにも行きたくないであろう事は明白。相手越しにいつにも増して憂鬱そうな足取りで遠ざかる疫病神の姿を認めながら二人に何があったのか、そればかりは当人でないのだから分からないが自分なりに考えた挙げ句チョイチョイと相手を手招きすればしゃがみ込んで目線を合わせ「――ねぇつっこちゃん。これはナイショのお話なんですがね、疫病神様……つっこちゃんを抱っこしてきた兄さんは、ちょっとばかし照れ屋さんなんです。いっつも目隠ししてるのも、ぶっきらぼうな事ばっか言っちまうのも、つっこちゃんが可愛くて照れてるからです」きっとあのぶっきらぼうに傷つけられたにちがいない、と彼の厄介な性質に目星を付けてはコソリと声を潜ませ「ですから、もしつっこちゃんがあの人のことを嫌いじゃぁないんなら、お風呂もご飯もあの兄さんを誘って一緒に行ってくれやしませんか。ね、わんわんからのお願いです。あの人も、本当はお友達がいなくって寂しいんです」なるべくわかりやすく、それでいて相手を嫌っているわけではないのだとはっきり伝わる言い方を模索しながらパチンと両手を合わせて頼んでみて)
(/ありがとうございます!今後の進めやすさを考えて一度登場させていただきましたが、キリの良い所で引っ込ませますのでしばらくお付き合いくださいませ。)
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