サイノカミ 2017-03-23 21:54:40 |
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>月子
(時折はらりはらりと涙を零しながら、火が消えたようにシンと落ち込む相手へ何か言ってはやりたいが何を言えば良いのかわからない。はく、とそれこそ溺れかけた人間のように口を開いては閉じ、また開いては溜め息だけを零して閉じる無意味な行為ばかり繰り返しては結局暖を求めて寄り添ってくる体をただ支えてやる事しか出来ず。沈黙と慰め一つ与えてやれない己への嫌悪は胸に積み重なり一層言葉を詰まらせる。しかしようやく顔を上げた相手のあまりにいじらしい答えにぐっと息を呑めば「――何故俺がお前を嫌うんだ」焦るあまり怒ったように強張ってしまう声で否定を、そうしてやっと今気づいた硝子玉を思わせる異国の碧眼に驚いて目を見開きつつ「……しっかり掴まっていろ」その清い色合いから逃れるように顔を背け、暗に“降りずともお前を嫌う事はない“と示す為に小さな体を抱え直すと来た道を黙々と戻っていき。今度はキチンと橋を渡り、夜に賑わう町並みへ足を踏み入れると腕の中の少女が好みそうな呉服屋も飾り物屋も今は後回しと足早に鬼火の連なる通りを進む。己が通れば道行くモノノケはあからさまにこの身を避け、嫌なものを見たと顔をしかめヒソヒソ囁きを零すが家路を急ぐ今ばかりは邪魔が入らず都合が良い。ただ生死の境をさ迷ったばかりで多少繊細になっている相手にこの光景は毒だろうかと「……安心しろ、どいつもこいつも俺を嫌ってああしているだけだ。お前の事を何か言っている訳じゃない」そう耳元で念を押しながらマヨヒガに繋がる鳥居まで赴き。そこをくぐってしまえばもう喧騒も何もなくしぃんと静まる屋敷が夜闇にそびえるばかり、ようやく安堵に一息吐き出すとちょうど庭で落ち葉焚きをしている下男を目に留め「カンナギを連れて来た。今すぐ着替えを用意して、風呂にも入れてやってくれ――お前も、俺に捕まったばかりに災難な目に合ったな。他の連中の所に居れば……もう面倒事には巻き込まれないだろう」手短に世話を命じ、次いで相手にも手短に別れの挨拶を。未だ相手の事は気掛かりではあるが、気掛かりだからこそ己が側にいては決して良い方向には進まないだろうと良心故に突き放し)
【送り犬】
おや、お帰りなさいま――って一体全体どうしたってんです、二人揃ってびしょ濡れじゃぁありませんか!
(未だ冬の感じのする夜気にぶるりと身を奮わせながら焚火に当たっていればふと鳥居の方から足音が。どなたのお帰りかと思いきや疫病神、それも柄にもなく子供を抱えたその姿にまずはギョッと目を見開き。次いで彼も子供も上から下までぐっしょり濡れている事に気付けば耳と尻尾をビンと立てて素っ頓狂な声を上げ、駆け寄り見た少女の風変わりな容姿にもまた驚きつつ一先ず何とかしなければと主の命に頷いて「川遊びにゃまだ早いでしょうに……さ、お嬢、さぞや寒かったでしょう。もう大丈夫ですからね、おいちゃんと一緒にあったかいお風呂に入りましょ!」主も彼自身より己のほうが子供受けすると踏んで命じてきたのだろう、きっとそうだろうとその意図を汲んでぱーっと人懐っこい笑顔を向けながらこっちへおいでと両腕を広げ)
(/お待たせして申し訳ありません!ぜひお相手をお願い致します。また進行上勝手にもう1人登場させてしまいましたが、やりづらいようでしたら纏めてのお返事でもスルーしていただいても構いませんのでご了承ください!)
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