サイノカミ 2017-03-23 21:54:40 |
通報 |
>日向
そうか……そうか、ならばお前は此処へ居てくれ、お前の心の望むまで。我もひとりより日向のいるふたりが良い。
(悪しきとされる事も子が望むならまた話が違うのではないか。現世での報われぬ日々を思わせる言葉に今度は己が相手を真似て腕を組みつつ思案する番であり、しかしすぐさま欲に負け、未だ来ぬ別れの話など好きに語っておくが華と早速一つ我が儘を言い。次々と溢れる相手の一言一句は心に留めども己の言葉など口にした側から淡雪のように記憶から消えるもので、相手の謝罪も己は何か言っただろうかとほんの一瞬不思議に思うばかりでまたすぐ相手に気をやれば「我のまなこに童らは……日向は眩い、この玉のように愛おしいものに見える。揃い、揃いか、それは楽しみだ」笑み混じりの否定にも揺らがぬ思いをぽつぽつと一人語りの如く零し、今は夜風に晒されるうなじを指先で撫でながら此処へ己と同じ飾りの揺れる日を、別れとどちらが先に訪れるかわからぬその日を思い描いて目を細め。どうやら己の見立ては童女の琴線に触れる事が叶ったらしく、子鹿のように飛び跳ねるのを撫でて諌めつつ早速横髪へと絡ませては今一度じっくりとその姿を見つめ、表情の乏しい顔へおもむろにはっきりと困惑の色を示すと「……困った。飾り一つでこうも愛らしくなるのなら、次はべべ、次は下駄と揃えてやりたくなる」せめて髪飾りだけでもと引き留めたはずなのに、まずは屋敷へ赴かねばならないというのに、髪留め一つで愛らしさを増す姿にもっともっと着飾らせてやりたいと親心にも似た欲張りが顔を出し真剣な顔つきで悩み始め)
トピック検索 |