赤の騎士 2017-03-01 00:05:01 |
通報 |
あら、羨んでいるのが伝わってしまった?……実はね、このドレスを纏う貴婦人はどんなに幸せだろう、なんて考えていたところだったのよ。
(他の飾られたドレスも勿論美しいが目の前のそれは一段と胸を打ってくる衝撃にも近い魅力があり、しげしげと眺めてしまっていた最中の相手の計らいにぱちりと瞬きを繰り返した後困ったように眉を下げ。美とはある意味人を狂わせるものだが自分もその例に漏れなかったようで、折角淑やかに振る舞っていたというのにまるで物欲しげな様を指摘されてしまったような何とも言い難い羞恥心を感じてしまい、仄かに熱を帯びてしまう頬を両手でそっと覆う様に隠しながら照れくさそうに言葉を続けて。「……こうして披露してもらっているだけでも十分贅沢だというのに、欲張りな子でごめんなさいね。今は、貴方の言葉に甘えさせてもらうわ」粗相をしてしまったと自覚があるのにその魅力的な提案を甘んじて受け入れてしまうあたりまだまだ意志の弱い娘に過ぎないということだろう、ちらりとそちらを窺う様に視線を上げながら恥ずかしさと隠し切れない嬉しさが滲んだような声を続けると触れるのが躊躇われるほど優美なその赤紫に静かに指を伸ばして。そっとトルソーから脱がせたドレスはたっぷりとしたドレープが重厚な気品を感じさせるというのにふわりと軽く、少女の夢をそのまま形にしたような柔らかさを大切そうに優しく抱きしめると自然と笑みが漏れてしまい。このドレスに袖を通す初めての女性になれる喜びに胸を高鳴らせながらふと視線を上げると、いくら女性的とはいえれっきとした男性である相手の前で着替える訳にも行かない、とドレスを纏えそうな場所を探す様に辺りを見渡して)
トピック検索 |