赤の騎士 2017-03-01 00:05:01 |
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貴方に言われるなら少し誇らしい位よ。……まあ、かと言って再びアリスに戻ることなどないのだけれど。私の役目も、彼の役目も投げ出した上での結論だもの。悲しい報告は生涯口にしないと誓うわ。
(湯を注ぎ花開いたのは茉莉花や百合、千日紅などが鮮やかな茉莉仙女花籃と呼ばれる種の工芸茶、湯の中で時折ふわりと揺れながら少しずつ茶の色を滲ませていくそれを眺めながらそっと目を伏せると相手の言葉に紅を引いた唇をゆるりと緩めて。慇懃な相手に言われるからこそ残念、なんて言葉も期待していてくれたのだろうと感じることが出来、永遠に戻る意思などないその役目に対する思いをかの騎士と歩んでいくだろう未来を思い浮かべながらはっきりとした言葉で伝えると、聊か熱を込め過ぎてしまっただろうかと言い終えてからじわじわ感じ始めてしまった照れくささに困ったように眉を下げて。「仙女……そうね、妖精さんと言えばいいかしら。彼女の持つ花籠をイメージして作られた種なの。お気に召してもらえたようで良かったわ」いつもその内に抱えた感情を如実に表す彼の耳へ視線を向ける必要もない程その興味を示してくれていると分かる相手の様子を微笑ましく思いながら色とりどりの花を水中で咲かせるそれに関して簡単な説明を。少しばかり時間を置いてしっかりと茶が出たのを確認してからそっとポットを手に取りガラスで作られたティーカップに注ぎ入れると、ふわりと広がる故郷を彷彿とさせる香りに頬を緩めながら相手の前にカップを勧めて)
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