赤の騎士 2017-03-01 00:05:01 |
通報 |
__寝る間を惜しまなくたって、時間は沢山あるわ。星々が交わす一夜限りの逢瀬ではないのだもの……時間を掛けて私を知ってほしいし、貴方のことも知っていきたい。
(触れ合った唇は優しく温かいものだったのに続く感触を突っぱねてしまったのは道への少しの恐怖心からだろうか、身体を引き謝罪を口にする相手に自らの成熟しきらない幼さを、ひいては自分にはない彼の大人としての対応を見せつけられたように感じられ。その気遣い自体は大切にしてもらっていると思える尊重、けれどそうして彼が自分のために彼自身を抑えているような言葉の寂しさに僅かに眉を下げて。ゆるりと緩慢な動きでソファから体を起こし頬の熱っぽさを取るように自らの頬に手を添えながら、今はその気遣いによる想いの距離が寂しくとも己を尊重してくれるその意志を裏切らないため言及は避け、相手の自制の元に告げられただろう言葉への返答を口にして。「……でも、私が知りたいのは貴方であって"赤の騎士様"ではないのよ。叶うなら貴方の懐で髪を梳いてもらいながら、その声を聞いていたい……こんな風に貴方に甘える私はお嫌い?」その自制を現す様に正しく騎士らしく膝を床に落とす彼、その気遣いに今は甘えることにしたとは言えその心の距離の寂しさまで堪えるつもりはなく。驚いたとはいえ相手を拒否してしまったのは自分、その上での我儘だと自負しつつ胸に広がる寂しさを滲ませた声で願いを口にすると、纏め上げている普段とは違いさらりと背中に流れる長い髪を一度指で梳いてから相手を迎える様に軽く両手を差し出して。)
トピック検索 |